明誠高等学校

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岸卓臣

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人と協力しながら、意志を持って動ける大人になってほしい

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PROFILE

  • 岸卓臣

    校長

    岸 卓臣

    明誠高等学校 校長。明誠高等学校の前身である益田商業高校の卒業生。卓球指導者として、日本女子ナショナルチームヘッドコーチ、日本女子ジュニアナショナルチーム監督を歴任。世界ジュニア選手権で日本チームを優勝へ導くなど、16 年間にわたり日本代表選手の育成に携わり、海外渡航は30か国80回を超える。世界を舞台に培った経験を、母校・明誠高校のグローバルな学びへつなげている。教頭、副校長を経て、2026年度より現職。

全8回にわたり、明誠高校の今と未来を発信するWEBマガジン「フォーカス明誠」。第1回に登場するのは、2026年度より舵を取る岸卓臣校長だ。探究活動「明誠ワールドシフト授業」や新たな国際教育「グローバルアカデミックライン(GAL)」をはじめ、偏差値主義からの脱却を目指し「意志を持って学ぶ教育」へと進化を遂げる明誠高校。卓球指導者として世界の第一線で選手を育成してきた岸校長は、なぜ今、母校で挑戦を続けるのか。

「与えられる教育」から、「意志を持って学ぶ教育」へ

ーー 卓球指導者として世界各国を巡る中で見えてきた、日本の教育の課題は何でしょうか?

学びたくても学べない子どもたちや、卓球がしたくてもできない子どもたちに出会ってきました。自分が置かれている環境によって夢が奪われてしまうことが、実際に起こっているんです。

一方で、物質的な豊かさに違いはあっても、一生懸命生きている子が多いことも感じました。例えば、インドに行ったときに、屋根のない家が多く集まる地域に行ったことがあります。雨が降ると、子どもたちはキャッキャと言いながら外に出てきて、髪や顔を洗いに外に出てきました。その姿が、本当に幸せそうで。

海外での卓球交流会
海外での卓球交流会

また、ニュージーランド出身のある高校生選手は、大会出場が終わったら、「ちょっとヨーロッパをぐるっと回ってから帰る」と言って、そのまま1人でいくつかの国を旅して自国に帰って行きました。日本語にも興味があり、大学生のときには日本に短期留学をし、明誠高校での卓球合宿にも参加しました。そのバイタリティには驚きましたし、自分から動いていくエネルギーを感じました。

そんな子どもたちの姿を見て、「日本の子どもたちはどうだろう?」と考えるようになったんです。もちろん幸せを感じながら生活していたり、自分の意志で動いていたりしている子どもたちはいるけれど、目的もなくなんとなく学校に来ている子どもが多いのではないかと思いました。

日本は、カリキュラムや学ぶべき内容が決まっている「与えられる教育」をしてきました。それによって、子どもたちが自分の意志で動く機会が奪われてきたのではないかと思っています。もったいないことをしてきました。これからは、「意志を持って学ぶ教育」へシフトしていかなければいけないと思っています。

世界ジュニア優勝
ジュニア世界大会。監督としてチームを優勝に導いた。(写真提供:卓球王国)

ーーなぜ今、明誠高校で新しい取り組みに挑むのでしょうか?

私は、「自分に関わる人たちが幸せになることが世界平和の第一歩」だと思っています。そのために地域とのつながり、世界とのつながりを重視した教育を展開し、母校の魅力を高め、充実した高校生活を送ってもらうことが自分にできることの一つです。 また、益田市には海も山も川もあります。自然豊かなこの地から世界を眺める、そんな教育活動もあると思っています。

視野を広げる経験が、世界平和につながる

ーー 「明誠ワールドシフト授業(※1)」が始まったことで、どのような変化を感じますか?

ある生徒は、明誠高校に入学した理由を「ワールドシフトに興味があったから」だと話してくれました。週1回、1日中自分のやりたいことができることに魅力を感じてくれたようです。これまで部活動に興味を持って入学してくる生徒は多かったのですが、カリキュラムにも目を向けてもらえたことには嬉しさを感じています。

先日開かれた中学生を対象とした体験入学では、その生徒が自ら申し出て司会を務めてくれました。それだけでなく、アイスブレイクの進行やそれぞれの探究活動の発表まで何人かの生徒と一緒にやってくれました。少しずつではありますが、教員ではなく生徒が主体となって動く時間が増えていっているように思います。

明誠ワールドシフト】
毎週金曜日、教科の授業を廃止し、生徒自らが1日の過ごし方をデザインする授業。地域の大人達との出会いや、好きなことに没頭する時間、勉強に取り組む時間など思い思いに生徒が過ごしている。

生徒が中学生に魅力を説明する様子。
生徒が中学生に説明する。東京会場でも物怖じせずに本校の魅力を自分の言葉で伝えた。

ーー2027年度からは、普通科の学びもアップデートされます。一番のねらいは何でしょうか?

あたらしく始まるグローバルアカデミックライン(※2)では、 希望者はダブルディプロマプラグラム(DDP)を履修することで、アメリカと日本、両方の高校の卒業資格が得られます。ですが、それはあくまで結果であり目的ではありません。学ぶ過程の中で、物事を多面的に見る力が身に付くと思っています。

「日本から見る日本」と「アメリカから見る日本」は、当然違うわけです。例えば、日本では豊臣秀吉は英雄のように語られることが多いですが、侵略者のように捉える国もある。これはいろんな角度から見ないと気づかないことです。自分の主張しかしなかったり、他者理解ができなかったりすることが、争いごとに発展していくこともあります。

生徒たちには、それぞれの国の歴史や文化を学ぶことで、視野を広げてほしい。結果として、それが世界平和にもつながっていくと思っています。

グローバルアカデミックライン】
2027年度より、普通科に新設されるライン。希望者は、アメリカの通信制高校の卒業資格を目指すダブルディプロマプログラム(DDP)に挑戦することができる。

GAL体験授業の様子
GAL体験授業の様子。対話的な学習でコミュニケーション力を磨く。

自分の思いを「自分の言葉」で語れるようになる3年間を

ーー英語教育や探究活動を通して、身につけてほしい力は何でしょうか?

大切だと思っているのは、「コミュニケーション能力」と「耐える力」です。

単に英語がしゃべれるということではなく、自分の言葉で語れる人になってほしいと思っています。ただ、「自分の言葉」というのは、いろんな経験をしないと出てきません。目の前のことに一生懸命取り組んだり、人との出会いを重ねることで、伝えたいことが生まれるものです。また、思い通りにならない経験から学ぶことも多くあります。それがあるからこそ、人の心がわかったり、困っている人に優しくできたりする。そういった力を備えている人を、今の社会は求めているのではないかと思っています。

ーー最後に、進路に悩む中学生へメッセージをお願いします。

「これがやりたい」という自分の意志を持っている中学生に入ってきてほしいと思っています。まだやりたいことが定まっていなくても、「世界に興味がある」「社会に対して自分が貢献できることを探したい」と思っているなら、それが何かを高校3年間を通して見つけていけばいい。

高校を卒業した後に「いい大学」に入ることがゴールではありません。高校3年間でこんな風に成長したんだという実感が持てること。そして、自分の思いを自分の言葉で語れるようになること。そこに向けて、私たちは全力でサポートしていきます。

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